<2015年度> |
前年度以降の校長室より |
実際は多くの人たちが学校のあり方に疑問を持ちながら学校の価値を偏差値や大学進学実績で推し量る風潮はまだ強いようです。その価値観に染まった大人は無意識のうちに、子どもを偏差値や学校名で評価しているのかもしれません。
しかし、学校評価の本質的価値が決して偏差値や進学実績によるものではないと、一人でも多くの人たちに知ってもらえれば、その風潮を少しでも改めることができるのではないでしょうか。
子どもたちも目先のテストの点数ばかりにとらわれなく成るかもしれません。
名門校の教育は確かにすばらしい。しかし、みんなが名門校に行く必要はないと思います。社会全体が名門校のような雰囲気で子どもたちを包み込んであげれば良いのではないでしょうか。
特に私立学校では、学校の掲げる教育方針や目標を先生方が共有し、信念を持って学習や生活指導をしています。また、一人の人間として、よりよく成長していくための心の教育にも力を入れています。小学校の6年間は学力や人格形成の基盤を創る大切な時期。良質な教育を受けることで中学・高校、その先につながる力を蓄えることができるのです。
卒業の時期を迎えています。それぞれの子どもが、それぞれ与えられた新しい環境で輝きを示し、羽ばたいていくことを願っています。
2016/02/24
島根 照夫
人との関わりを親がうまくできない。だから子どもの世界に首を突っ込むとややこしくなるのか。世間ではよく聞かれる話である。
子どもの戦いごっこで繰り返し、起こる出来事。うちの子が○○ちゃんに痛い思いをされて困っている。低学年では良く起こることである。低学年では、痛い思いをする、悲しい思いをする(程度がありますが)この経験が人間の幅を深めるのです。あまりにも純粋培養で育てられるので、人との関わりがうまくできない人が増えているのではないでしょうか。子どもには育つ伸びしろがあるが、親が問題である。
メールなどの機器によるコミュニケーションでは、ニュアンスが伝わらない。三味線のおもしろさは、音符にない音がいっぱいあるところであると聞いたことがあります。教師道のおもしろさは指導教案にないものをどれだけ引き出しから出せるか。子どもが覚えているのは案外アドリブで使ったものが多いのです。カリキュラム教案に書かれていない引き出しがどれだけあるか、これが教師の幅を広くするのです。小学校の教師はスーパーマンでありドラエモンにもなることが大切と考えています。
それから、学校組織には 教育理念の共有が大切と考えています。七沢希望の丘初等学校のイズムをどう構築していくか。そこでは汗の見える教育が大切になります。先生は子どもと共に学校の夢と希望を探り、実現に向けて戦略を練る。そして率先して、思慮深く、根気強く語り継続する。そういう覚悟が見えたとき、保護者・子ども・同僚から信頼されるでしょう。そして信用を得るようになるのです。
優しい学舎で優しい子どもが育つ。そのような環境で健やかになります。子どもには自由と奉仕の精神を学び、他者に施しができるようになってもらいたいのです。
2016/01/27
島根 照夫
比叡山延暦寺を開いた伝教大師最澄(さいちょう)は「一隅を照らす」という言葉を残しています。一隅とは、片隅のことです。片隅が集まって社会が構成されています。最澄さんは、「一隅を照らす」の中で「一人一人が1本のろうそくになり世の中の隅々まで照らすように」と弟子たちを諭したのです。一本のろうそくは、自立した人のことです。自らを鍛え、人を頼ることなく自分で考え、判断し、行動する人間が1本のろうそくとなるのです。キリスト教の世界でも同じことが言われています。「地の塩、世の光となりなさい」と。
世の中はクリスマス商戦に踊らされイルミネーションの光にあふれています。クリスマスは、イエス様の降誕を祝う日です。目に見えるプレゼントではなく、目に見えないプレゼント(幸せ、平和、優しさなど)に感謝できるとよいですね。
ここ七沢希望の丘初等学校でもクリスマスには、七沢幼稚園の園児と共に降誕劇を行います。三人の博士、天使、羊飼いなども英語の台詞を覚えることに挑戦しています。保護者の方たちの聖歌隊やハンドベルの練習にも熱が入ってきました。内田学園のみんなで主イエスのお生まれになった日をお祝いするのです。グローリーゴッド、グローリーゴッドと。
2015/12/16
島根 照夫
チームとして取り組んでいる姿は美しい。チームはチームとして何がしたいのか。このことに気づくように常に語りかける。七沢希望の丘初等学校の縦割り学習(くらし・希望)の中にその仕組みが含まれています。やればできる。子どもに自信を持たせ、やる気を喚起させる。新しい歴史を切り開くのは、君達だ。君たちの歩み、一歩一歩が歴史の足跡になる。
日本ラグビー協会のジェネラルマネージャーいわゆるGMの岩渕健輔氏は36歳でGMに就任した時(2012年)に次のような本を出版して意思表明をしました。日本ラグビーが明確な指針を持っていたのです。「世界に勝たなければ意味がない。(NHK出版)」日本代表メンバーはナショナルフラッグのためにという明確な目標があったのです。だから一つになれたのです。誰か一人でも疑問を持ち、いい加減に手を抜いたら目標は達成できないのです。国籍、出身国を抜きにして、日本代表としてなにをすべきかが明確であったのです。
このように私学は、明確な柱を持たなければなりません。建学の精神はこのために必要なのです。私学はこれで成り立っているのです。
仕事は進んでする、自ら取り組む、人に言われてするものではない。「はい喜んで。」が基本でしょう。しかしその前に、自ら気づくことが大切な力となります。自ら取り組むことで、「何で」が「確信」に変わるのです。目の前のものに挑戦する。まず取り組むことが何なのかを判断する。あれもこれもは、結局なにも大成できない。自分の仕事は何かを自己評価する、自己評価できる事が大切です。 今までは、自分たちで自分の限界を作っていたのかもしれない。“ああ知っている”ということは、自分で自分の限界を決めていたのです。
日本ラグビーの快進撃にいろいろなことを学びました。外国チームに勝つと言うことはかなりハードルが高いことは誰しもが認め、いや諦めていることでした。 そんな中で、不可能という言葉は通用しない。やればできるということ。それと、外国の人たちは、素直に日本を応援してくれている。ナショナリズムとは何なのか。日本人はとかく、純粋日本人のメンバー構成を考えがちです。かつて相撲の世界でも同じような議論が起こりました。
「練習は嘘をつかない」ということと「挑戦は自分を高めること」ということを七沢希望の丘初等学校の子どもたちに語り続けたいです。
2015/10/28
島根 照夫
挨拶し広がる友と心の和
本校を訪れた人がこぞって言うのは、「気持ちのよい挨拶ができますね。」ということです。君たちが褒められて、私も嬉しいです。実際に先生もそう思います。日本の伝統文化や礼儀作法を知っていて身につけると良いですね。どうしてそうするのか、どうしてそうなるのかがわかると、ああそうなのかと腑に落ちることがたくさんあります。義理でやるのでなく、心からそう思ってやる、自然にできるようになるのが良いですね。
ドアーのノックは3回か4回が国際基準だそうです。2回は、トイレのノックだそうです。握手は相手の目を見てほほえむ。頭を下げる必要はないのです。オリンピックの前に海外からの観光客も増えてきます。スマートな会話とともにマナーも身につけられると良いですね。
話は変わりますが、私は朝、家のトイレをきれいに磨いて学校に来ます。朝やると何か気持ちがいいのです。洗面台も使った後は汚れているところをきれいにしておきます。次の人が気持ちよく使えるようにとの思いからです。 これらのことはディズニーランドの人と話した時に学びました。汚れているところは、次から来た人も汚してしまうのです。きれいなところを汚すのは何となく気が引けますね。これが人間の心理なのです。トイレの中は、密室になります。誰も見ていないところで気を遣うようになると良いですね。こんなことが身について、癖になっていると何でもなくできるようになりますよ。昔ゴルフ場で「島根さん良い習慣ですね。」と言われたことがあります。今では、日本の多くの企業や行政機関にこの考え方が取り入れられてきています。このような文化だから、日本はゴミ一つ落ちていないと中国の人に言わしめるのです。あれだけ経済が発展してきた中国はゴミが平気で捨てられていることに危機感を持っているのです。文化水準が低いとされるのです。
日本舞踊やお茶の作法のように型になるまでは、指導が必要です。型が身につくと自然な振る舞いができるようになりますね。今、七沢希望の丘初等学校で取り組んでいる茶道の授業も、おもてなしの心を学んでほしいとの考えがあります。「真、行、草」の礼の仕方から習い始めています。学校の校庭で、保護者の方たちを接待して、野点ができたらすばらしいですね。
2015/07/16
島根 照夫
子どもも先生も七沢希望の丘初等学校で学んだ知恵を生かして豊かな人生。
野菜を育てるように子どもも丁寧に育てられないだろうか。創るということに情熱を傾けられる人はすばらしい。だから食材を育む人の創った料理はおいしいのです。それは素材の良さを知っているからです。同じように子どもの素材をよく知る人は子どもの成長を共に喜ぶことができるのです。
先日サツマイモの苗を植えました。半分くらいが根を張りました。まだまだしっかりと根を張るのに時間がかかりそうな苗もあります。白い若根が芽を出す前に植えたものは、なかなか育ちにくい。しっかりと根を出させることが大切です。根が出れば後は自分の力でしっかりと伸びることができるのです。確かに、畑に植えられた苗は、水を求めて根が伸びていきます。30センチも掘れば、そこには湿った土があります。そこまで自力で根を伸ばさないとしっかりと立てないのです。早くから水やりをやった苗は、大きく育たないそうです(農業スクールでの会話)。植えたばかりの苗には、しっかり立てるように添え木も必要です。
地球上に生物が生まれて高等な生き物に進化してきた順序を考えると苗を育てる中にそのヒントが隠されているように感じます。バランスのとれた体の発育には、水と土による皮膚刺激が、子どもの発達・成長には欠かせないものとなります。ハイハイをいっぱいさせることが、足腰を丈夫にし、自らどんどん動き回る子どもに成長するのです。進化の最初は、じっとしてえさの来るのを待っていた時代もありました。それでは困る、限界があると言うことで、自ら移動して捕食をする進化を遂げたのです。そして人間の住む世界が広がってきたのです。丈夫で感覚の鋭いバランスのとれた体に育てることを目的として、初等学校教育は、行わなければならないのです。自然豊かな環境で子育ての土台づくりに取り組まなければならないのです。
失敗して工夫があるのです。悲しいかな、何もなく苦労しない二代目には、このチャンスが少ない。成功者の大物は失敗を何回かしています。なぜなら失敗の中に答えがあるからです。料理は心でするのです。愛のある好ましい間柄においては、その料理はおいしい味付けになります。信頼関係が成り立つところには、すばらしい教育が育つのです。
教育も農業も結果が出るまでには時間がかかります。教育や農業はきょろきょろしないでずっと抵抗なく試行錯誤しながら続けると言うことが大切なのではないでしょうか。天災を恐れていては農家はできない。教師年齢の若い先生は、この七沢希望の丘初等学校で教育技術と感性を学び磨いてほしい。
2015/05/27
島根照夫
その土地が育てた野菜。その土地が育てた子ども。これが地域に根ざした育てる教育ではないでしょうか。古い風俗習慣、伝統をどう育てることに生かすか。風俗習慣にはその土地の大切にしてきた心があります。たとえば、森林の木を切り倒した後に、木の先端の若木を接ぐ。幹は戴きました。根元と若木はお返しします。山の実りが永遠に続くようにという思いがそこにはあります。その土地の風俗習慣は子どもに教えないと伝わらないし残っていかない。心は伝わらないのです。次の次代に伝えることが大事なのです。そのような行為が地域を守ることにつながるのではないでしょうか。
七沢希望の丘初等学校のアイデンティティーをどう伝えるか。受け継がれる心の形をどう構築するか。自然を残し廃れざるを起こすという考えに似ています。豊かになるまでにはまだまだ時間がかかります。しかし、原点を探ると見えてきます。日本は火山文化であり、山に木を植えないと生活が成り立たないのです。植林の大切さ。人を守る。これを文化として残すのも学校の役目ではないでしょうか。
自立するとはどういうことでしょうか。親や先生の庇護の元から離れられるということです。
行動力は自らがやろうと思わないと身につかないものです。自分の心と体をコントロールすることなのです。たとえば怖いものを自らが克服することで怖いものを乗り越えられる。自分で主導権を握る。そこには緊張する自分がいます。緊張こそが自分を高める先生なのです。どうしても怖い恐怖心は残ります。しかし自分の心をコントロールすることが大切なのです。本校の掲げている自立から自律とはここにあるのです。当たり前の教育を当たり前でなく提供する。七沢希望の丘初等学校はこんな学校でありたい
2015/04/吉日
島根 照夫